ブラッシング時の出血が気になり来院した43歳男性
歯周外科治療(フラップ手術)+ 歯周形成手術(根面被覆術としての結合組織移植術、半月状歯肉弁歯冠側移動術 + 結合組織移植術、結合組織移植術 + 歯肉弁歯冠側移動術)
複数の部位を対象とした根面被覆
歯周基本治療ならびに炎症の除去を図るための歯周外科治療として、左上第1・第2大臼歯(正中から6番目と7番目の歯)にフラップ手術を行い、さらに上下左右の犬歯(正中から3番目の歯)および下の左右の第1・第2小臼歯(正中から4番目と5番目の歯)を対象とした根面被覆術を計画しました。
左上犬歯には結合組織移植術(①~④)、右上犬歯には半月状歯肉弁歯冠側移動術に加えて結合組織移植術、下の左右犬歯には結合組織移植術を、同時に小臼歯には歯肉弁歯冠側移動術を併用して施術しました。
治療後良好な根面被覆が達成され(⑤)、治療終了から10年以上が経過した現在も大きな変化をすることなく維持されています(⑥)。
右下の前歯の歯茎が下がっていて気になる52歳男性
歯周形成手術(根面被覆術としての結合組織移植術) + 根管治療 + ファイバーポスト + オールセラミッククラウン(連結冠)
リスクファクター(原因因子)の除去を含めた根面被覆
他院にて根面被覆術を受けるも改善が得られず、来院したクライアントです。
右下の側切歯には陶材焼付鋳造冠(セラミックを焼き付けた金属の被せ物)が装着されており、Millarの分類Class IIの歯肉退縮が認められました。軽度度の動揺が認められ、特に下の顎を前に動かす際に上の前歯に強く接触していました(①、②)。歯肉退縮の原因は、歯列不正(不揃いな歯並び)、不良補綴物による外傷性咬合(咬み合わせが高い差し歯が装着されていることによる歯のぐらつき)と分析しました。
患歯を咬合調整(咬み合わせの調整)し、隣在歯(隣の歯)と暫間固定(一時的な固定)を行い(③)、結合組織移植による根面被覆(④~⑦)の後に根管治療、補綴治療を行う計画といたしました。なお、処置後に動揺が残存する場合は連結冠による補綴治療を行い、永久固定をすることとしました。
結合組織移植後(⑧、⑨)、十分な治癒期間が経過しても僅かな動揺が残存したため、動揺の改善と再退縮の予防、長期的な安定を考慮して両隣在歯と連結したセラミッククラウンによる永久固定を行いました。プロビジョナルクラウン(仮歯)による暫間固定を行い(⑩、⑪)根管治療後(⑫)、ファイバーポストによる支台築造を行い歯肉の安定を確認した後、最終補綴を行いました(⑬、⑭)。
治療後2年が経過し、良好な予後が得られています。
Copyright © みなみ歯科クリニック. All Rights Reserved.