歯科口腔外科

Case1

歯肉の腫れとグラグラが気になる46歳男性

下顎水平埋伏智歯の分割抜歯

 

歯周治療における原因除去の一環としての埋伏抜歯

 

主訴である右下第2大臼歯には重度の動揺と根尖に至る深いポケットが認められたため要抜歯と判断しました。一方で左下第2大臼歯にも深い歯周ポケットが認められるものの歯周組織の破壊が部分的であることから、こちらは歯周治療により保存が可能と診断しました。オルソパントモ写真撮影により、左右いずれの第2大臼歯とも下顎水平埋伏智歯(親知らず)の歯冠が第2大臼歯の遠心歯根面に接触していることがポケット形成の間接的な要因であることが分析されました。そのため、歯周治療の原則となる原因除去を図るためには、埋伏した智歯の抜歯が必要と判断しました。

 

左下智歯根尖が下顎管(下歯槽神経や下歯槽動・静脈が走行している下顎骨の中を通る管)にやや近接していることから(①)、抜歯時の注意が必要であることが想定されました(抜歯時に下顎管を傷つけて下歯槽神経を損傷すると術後に違和感や麻痺が生じ、下歯槽動・静脈を損傷すると大量の出血を伴うため、下顎管に対する十分な配慮が必要となります)。術前にそれらの危険性(偶発症)についての十分な説明を行い治療しました。

 

右下は第2大臼歯遠心に切開を加えて通常抜歯し、続いて智歯を抜歯、縫合しました。左下は第2大臼歯遠心にディスタルウエッジフラップを行い、一部が萌出している智歯の歯冠頬側遠心の歯槽骨の一部を削除し、智歯の歯冠部を歯根部と分割して抜歯しました(②)。


施術時に下顎管との接触は確認されず、抜歯時の異常出血はもちろんのこと、術後の知覚異常を発症せず良好に治癒しています。

治療前後の様子

診療前-初診時
治療後

①治療前(初診時)

②治療後(抜歯後)

Case2

歯周外科手術(歯周形成手術)のCase 1と同一のクライアント

通常抜歯 + 埋伏過剰歯の抜歯

 

歯周病リスク軽減のための抜歯と埋伏過剰歯の抜歯

 

左上第3大臼歯(智歯)は正常に萌出しているものの清掃困難で、根尖付近には過剰埋伏歯を認めました。左上大臼歯部には中等度の歯周ポケットも認められるため、歯周外科治療としてのフラップ手術が必要となる可能性が高いことからも、清掃性ならびに歯周治療後の第2大臼歯の長期的に良好な予後を考慮し、智歯の抜歯ならびに過剰埋伏歯の抜歯を行いました(①)。抜歯後の異常は認められず順調に治癒しました(②、③)。施術後約11年が経過し、抜歯部位の歯槽骨には完全な骨の再生と骨組織の成熟が認められています。

治療前後の様子

診療前-初診時
治療後

①抜歯した智歯と歯根の一部および埋伏過剰歯

②抜歯後約1カ月のデンタルX線写真

③抜歯後約1年のデンタルX線写真

※木・日・祝日は休診となります。
※受付は診療時間の30分前までとさせていただきます。